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2023年度 第74回入学式 報告、部長式辞

2023年4月7日 新1年生417名が入学式を迎えました。
青山学院高等部の入学式は礼拝形式で厳粛に執り行われます。
今年度は感染症対策も緩和され、PS講堂にご家族もお集まりいただいての式となりました。

部長式辞

きょうだいたち、あなたがたは自由へと召されたのです。ただ、この自由を、肉を満足させる機会とせず、愛をもって互いに仕えなさい。なぜなら律法全体が、「隣人を自分のように愛しなさい」という一句において全うされているからです。
ガラテヤの信徒への手紙 5 章 14 節

 74期新入生の皆さん、本日は入学おめでとうございます。そして青山学院高等部へようこそ。教職員一同、皆さんを心から歓迎いたします。保護者の皆様、またご家族の皆様、本日はお子様の高校ご入学おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
 さあ、みなさんの高等部での生活がスタートしました。どのような思いの中にいるでしょうか。どんな授業があるのか、何のクラブに入ろうか、留学生と話をしてみたい、きっと様々な期待がある一方で、教員やクラスメイトはどんな人たちだろうか、勉強はついていけるのだろうか、といったいくつかの不安もあることと思います。どうぞあわてずに、少しずつ慣れていって、高等部の生活を謳歌してください。
 みなさんがこの高等部で過ごすこれからの3年間、すなわち15歳から18歳になるこの3年間は、その後の皆さんの人生において、考え方や心の礎となるようなことを経験する期間だと私は思っています。様々な体験や出会いが、皆さんを形成し、皆さんが生きていく上での大切な血となり肉となっていきます。どうぞ自分から積極的に様々なことに挑戦してください。    
 これからの3年間が、皆さんにとって、喜び溢れる、実り豊かな3年間になることを願ってやみません。
 そのような3年間を過ごすために、3つの点を心に留めてほしいと思います。
 まず一点目は、Expand your horizons. です。Expand your horizons. Expandは、広げる、です。horizons は、地平線、水平線という意味もありますが、この場合、見えている部分、視野です。つまり視野を広げましょう、ということです。皆さんは15年生きてきました。中には、海外の経験を含め、様々な経験をしてきた人もいることと思いますが、まだまだ世界は広いです。知らないことがたくさんあります。高等部では、教科の学びもより高度なものへとなっていきますが、教科の中でも、またそれ以外でも様々な価値観や文化に触れるチャンスが用意されています。どうぞ新しいこと、知らなかったことに積極的に関わって、視野を広げてください。
 例えば、グローバル、という言葉を考えてみます。青山学院には、将来グローバルに活躍したい、と思って入学する人が多くいます。その場合のグローバルというのは、きっと、世界中で、というような良い意味で使われていることと思います。素晴らしいと思います。しかし、グローバル化、と言った時に、そこには、闇の部分もあります。安いものを作るために貧しい国の労働力が搾取されることがあります。グローバル企業が躍進することで、地域特有の文化が損なわれていくこともあります。グローバル化が進む世界で、何が大切か、何を目指すのか、そのような視点を持つことが大事です。高等部で、様々な価値観に触れ、視野を広げ、柔軟な感性と大切な視点を身につけてくれることを期待します。
 続いて2つ目は、Be the difference, Be the difference. 直訳すれば、その違いになれ。もう少しわかりやすく言うと、違いをもたらすものであれ、という意味です。実はこれ、青山学院の新経営宣言に使われているフレーズでもあるのですが、皆さんが成長していく上で、大切な考え方です。周りに良い変化をもたらすにはどうすればよいか、という意識を持ってほしい。聖書によると、私たち一人ひとりは神様から違う賜物、ギフトが与えられている。それを生かして、より良い変化をもたらすにはどうすればよいか。みなさんの中には、もしかしたら中学生の時にコロナによって様々な制限がかかって、不便さやあきらめることに慣れている人も多くいるかもしれません。高等部では、もっとこうしたらよいのではないか、これができるのではないか、それをより良いものにしていくために、自分に何ができるか、を考えてほしい。世界中を飛び回っていた理事長が良く言うのですが、「世界は一人ひとりの力で変えられる」まったくその通りだと思っています。それは何も地球規模の世界である必要はありません。身の周りの世界もそうです。自分に与えられた賜物を、身の周りの世界に必要な変化をもたらすために用いる。賜物は何か。できることは何か。そんなことも意識して生活してくれることを期待します。
 最後は、Love your neighbor, love your neighbor. Neighborは隣人ですので、隣人を愛せよ、という意味ですね。実は今日は、キリスト教の暦では、イエス・キリストが十字架にかかった受難日Good Fridayという日で、神の私たちに対する愛が示された日とも言えます。Love your neighborは、そのイエス・キリストが言った最も大切な教えの一つです。先ほど読んでいただいた聖書箇所は、このイエスの言葉を引用した箇所で、皆さんにも心に留めてほしいところです。その聖句の途中、愛をもって互いに仕えなさい、とあります。皆さんがこれから新しい出会いの中で、また新しいことをしていく上で、何をするにも、愛をもって行ってほしいを思います。「そこに愛はあるんか」そんな思いを何かするときには持ってほしいのです。愛する、という言葉ですが、好きになるということではなく、ここでは、大切にする、という意味です。仲間だけでなく、どんな人をも、です。意見が違う人も出てきます。好きになれない人もいるでしょう。それでも、私たちは、私たちの意志で、そのような人も大切にすることはできます。どのような人も大切にする、という思いを忘れないでください。私は皆さんに、この高等部でたくさんの豊かな経験をしてほしいのですが、愛という基盤の上にこそ、それがかなうと信じます。
 まとめます。Expand your horizons, 視野を広げてください。Be the difference、それぞれが与えられた違う賜物を用いて、より良い変化を社会に与えるために何ができるか、ということを意識して、Love your neighbor どんなときにも人を大切にして、この高等部生活を送ってほしいと願います。
 皆さんの高等部での3年間の上に、神様の豊かな祝福があるようお祈りし、式辞といたします。本日は、おめでとうございます。

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