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2019年度入学式 部長告辞

愛には偽りがあってはなりません。悪を憎み、善から離れず、兄弟愛をもって互いに愛し、尊敬をもって互いに相手を優れた者と思いなさい。怠らず励み、霊に燃えて、主に仕えなさい。希望をもって喜び、苦難を耐え忍び、たゆまず祈りなさい。 ローマの信徒への手紙12章9~12節
部長 渡辺健

70期新入生の皆さん、本日は入学おめでとうございます。そして青山学院高等部へようこそ。教職員一同、皆さんを心から歓迎いたします。保護者の皆様、またご家族の皆様、本日はお子様の高校ご入学おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。またご列席を賜りましたご来賓の皆様、関係者の皆様、本日は誠にありがとうございます。
さあ、みなさんの高等部での生活がスタートしました。まるで皆さんの門出を祝福するかのように桜も見事に咲き誇り、幸先の良いスタートとなりました。そんな中、今皆さんはどのような思いの中にいるでしょうか。高等部には、どんな興味深い授業やプログラムがあるのか、何のクラブに入ろうか、留学生と話をしてみたい、きっといろいろな期待がある一方で、担任やクラスメイトはどんな人たちだろうか、勉強はついていけるのだろうか、いくつかの不安もあることと思います。よくわかります。実は私も卒業生なので、30数年前、そちらの席に座っていました。あの時の緊張感は、いまだになんとなく覚えています。大丈夫です。どうぞあわてずに、少しずつ慣れていって、高等部の生活を謳歌してください。
さて、これから皆さんがこの高等部で過ごす3年間、つまり15歳から18歳の時期は、皆さんのその後の人生において、考え方や心の持ち方の、礎となるような経験をする期間になります。新しい知識や考え方、まったく初めての経験や体験、そして多くの様々な人たちとの出会いなどが皆さんを形作っていきます。時には、「なるほど、そういうことだったのか」理解が深まることによって、あるいは、「この人のようになりたい」「こんなことを経験してみたい」というような希望が生まれることによって、または「こういうことを大切に生きていこう」決意をすることによって、皆さんは人格を形成していきます。このような一つ一つの経験の積み重ねが皆さんを成長させ、また、「どのように生きていくか」、「どのような人間になるか」という意味で、自分の土台を固めていく時間になる、ということです。様々な経験を通して、自分を磨きつつ、成長しながら、実り豊かな3年間になることを切に祈っています。
それらをより確かなものにするために、3つの点を心に留めてほしいと思います。
まずは、Think for yourself 自分の頭で考えよう、という意味です。Think for yourself.
これまでは、親とか教員とかに言われてやることが多かったと思うのですが、これからは自分で考えて選択したり、決断したりすることが増えてきます。それは勉強においても、毎日の生活においてもです。脳を活性化して、自分でしっかり考えるようにしてください。他の人と同じで良い、親に言われたから、先生に言われたから、とならないように、行きましょう。普段から、今自分にとって何が大切か、優先すべきかを、考えて行動するようにしてください。
勉強に関してもそうです。思考力を鍛えましょう。これまでは知識をインプットして、それを覚えてただテストでアウトプットする、で済んでいた部分があると思うのですが、これからは、そういうことにとどまらずに、知識を得たら、ではそれはどうしてなんだろう、どういうことに繋がってるんだろう、自分だったら何ができるんだろうか、思考を働かせて、学びを深めてください。そうすることによって知識や考え方が自分の中に吸収されていくことになります。それが豊かな人間性につながると思います。Think for yourself, 自分の頭で考える。

二つ目、give it a try. これは、私の好きなフレーズですが、challengeより、やや軽いニュアンスがあります。やってみる、トライしてみる、という意味ですが、ぜひ、何でも挑戦してみましょう。
来週月曜日からオリエンテーションが始まり、高等部で経験できる様々な行事、生徒会活動、クラブ、SGHプログラム、キャンプなどについて、紹介されます。とりあえず、関心を持ったものには、give it a tryの精神で、やってみてください。そこから世界が広がります。自分の知らなかったことと出会い、視野が広がります。失敗していいんですよ、高校生なんですから。それもまた糧になります。ぜひ様々な事に挑戦してください。またそれは何も新しいことに限ったことではありません。もしかしたらこれまで苦手だったと思っていたことも、実はできるんだ、という経験ができるかもしれません。高校から数学が得意になった、とか英語が得意になった、という人もいます。
Give it a tryの精神で、自分の世界を広げていってほしいと思います。

そして3つ目は、Honor one anotherです。
 honor は、尊敬する、敬意を表す、という意味があります。またone another、この熟語、覚えていますか。そう「お互いに」でしたね。お互いに尊敬をもって接しましょう、ということです。これまでは、比較的同じようなバックグランドをもつ人と一緒の学校生活でした。しかし高等部では、出身中学校も、住んでいるところも様々です。長い間海外で過ごしてきた人もいます。また留学生もいます。考え方も習慣も違う人がいます。どうぞ、お互いを尊重…というよりも「尊敬」の気持ちで接してください。それが豊かな人間関係を作るきっかけになります。
先ほど読んだ聖書の箇所には、兄弟愛をもって互いに愛し、尊敬をもって互いに相手を優れた者と思いなさい、とあります。青山学院はキリスト教の学校ですが、そのキリスト教の中心メッセージは愛です。まず神様、イエスキリストなる神様は、そもそもが愛だと言うんですね。そして、私たち一人一人は、その愛の神様に創造された、造られたかけがえのない、値高い存在、と聖書は言います。しかもそれぞれが賜物、つまり神様からのギフトを別々に頂いてる、とも言います。ですから、一人ひとりが活躍する場所、機会も別々なんです。前に出てリードしてくれる人もいれば、影で縁の下の力持ち的に働いてくれる人がいます。得意なこと、関心も違うものを持っていますから、様々な人が別々の機会に貢献し合うことができるのです。ぜひ毎日の生活において、「素晴らしいね」、「偉いなぁ」、というような思いを持って、お互いに尊敬しあっていきましょう。そこに豊かな人間関係が生まれてきます。豊かな人間関係は、豊かな人生につながる、と信じます。
まとめます。Think for yourself, give it a try, and honor one another.
ぜひこの三つの点を心に留めて高等部生活をスタートしてください。皆さんの3年間の上に神様の豊かな祝福があるようお祈りし、告辞といたします。本日はおめでとうございます。

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