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2021年度入学式 部長告辞

さて、あなたがたは、キリストと共に復活させられたのですから、上にあるものを求めなさい。そこでは、キリストが神の右の座に着いておられます。上にあるものに心を留め、地上のものに心を引かれないようにしなさい。
コロサイの信徒への手紙3章1~2節

72期新入生の皆さん、本日は入学おめでとうございます。そして青山学院高等部へようこそ。教職員一同、皆さんを心から歓迎いたします。保護者の皆様、またご家族の皆様、本日はお子様の高校ご入学おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。

さあ、みなさんの高等部での生活がスタートしました。どんな思いの中にいるでしょうか。どんな授業があるのか、何のクラブに入ろうか、留学生と話をしてみたい、きっと様々な期待がある一方で、担任やクラスメイトはどんな人たちだろうか、勉強はついていけるのだろうか、あるいは今年の場合、コロナ禍にあって学校が続くのだろうか、と言ったいくつかの不安もあることと思います。どうぞあわてずに、少しずつ慣れていって、高等部の生活を謳歌してほしいと切に願っています。

みなさんがこの高等部で過ごすこれからの3年間、すなわち15歳から18歳になるこの3年間は、その後の皆さんの人生において、考え方や心の礎となるようなことを経験する期間だと私は思っています。新しい知識、考え方や、まったく初めての体験、そして特定の人、あるいは人たちとの出会いなどが皆さんを形成していくことになります。意識してそうなることもあれば無意識な時もあると思いますが、一つひとつの出会いや経験が、今まで以上に皆さんが生きていく上での大切な骨や肉となっていくものと思います。様々な経験を通して、自分を磨きつつ、成長しながら、喜び溢れる実り豊かな3年間になることを切に祈っています。

そのような3年間を過ごすために、3つの点を心に留めてほしいと思います。

まずは、Love your neighbor as yourself. 直訳すると、自分を愛するように隣人を愛しなさい。聞いたことがある人も多いと思います。聖書にある大切な言葉です。

ところで、皆さんは今、誰かを愛していますか。頭の中に誰かの顔、家族や好きな人の顔が浮かんだでしょうか。キリスト教の愛という言葉は、人を感情的に「好きになる」というより、むしろ人を「大切にする」という意味の方が近いと私は考えています。ですから、何をするにも、人を大切にしてください。そしてまたその前提として、自分を大切にしてください、ということです。

私たちは、すべての人を感情的に好きになることはできないかもしれません。しかし、好きになることができない人でも、大切にはできる、と思っています。意思の力で、私たちは、人を大切にはできる、と信じます。ぜひ自分と人を大切にすることを心掛けてください。聖書には、「自分にしてもらいたいことを他の人にもそのようにしなさい」という、言葉があります。いわゆるゴールデンルール、黄金律と呼ばれるものです。この黄金律を意識しながら生活すれは、人を大切にすることができます。もちろん、どんな人をも大切にするということは簡単なことではありませんが、人を大切にしていくときに、時には、初めは苦手と思っていた人とも分かり合えたり、強いきずなで結ばれたりする、という豊かな経験ができたりします。どうぞ覚えておいてください。Love your neighbor as yourself.

続いて2つ目は、Be an Explorer. です。Explorer、は探究する人、探究者なので、探究者たれ、という意味です。探究する、と言うのは、物事の本質を見極める、と言うような意味がありますが、探究学習、という言葉は聞いたことがあると思います。簡単にまとめれば、課題を考え、情報を集め分析し、自分の考えをまとめ伝える。高等部も探究学習を推進していますが、ぜひ積極的に探究する心を持ってください。授業で習ったことを丸暗記して試験で書いて忘れてしまっては学びとは言えません。知ったこと、覚えたことを基に、なぜそうなるのか、どうすればよいのか、本質は何か、と思考を使って、その答えや本質、最善策、真理を探究する姿勢を持ってほしいと思います。これは何も授業だけのことではありません。クラブ活動や生徒会活動、あるいは自分で取り組んでいることにおいても、ぜひトライして、習慣化をしてください。より深い理解が与えられ、そしてまた将来、より良い社会を形成するために良い備えとなります。Be an explorerです。

3つ目は、Keep your head upです。頭を上げていよう、という意味です。これには2つのポイントがあります。まず一つ目ですが、実際に動作として頭を上げて上を見よう、と言う意味です。できれば時々外で、空を見上げてほしいと思っています。特に今の時期、大学正門からキャンパスに入って、銀杏並木を歩いてくる時に空を見上げると、新緑が目にまぶしい。さわやかな気持ちになります。心理学的には、青空を見ると、βエンドルフィン、ドーパミンと言った、いわゆるポジティブになる脳内化学物質が分泌されるのだそうです。心にも体にも良いのだと思います。ですから普段から習慣づけるとよいと思っていますが、特に物事がうまくいかない、思い通りにいかないというような時にこそ、下を見続けるのではなく、上を、空を見上げてください。

そしてもう一つですが、先ほど山本与志春院長先生に読んでいただいた聖書箇所には、上にあるものを求めなさい。とあります。「上にあるもの」とは、どのような意味でしょうか。キリスト教の暦では今週の日曜日は、イースターというイエスキリストの復活をお祝いする日でした。高等部でも明後日、イースターの特別礼拝がありますが、イエスキリストは復活した後、天に上ったとあります。ここで言う、「上にあるものに心を留める」ということは天にいる神様、あるいはイエスキリストが良しとすること、大切にしていることを求める、と言い換えることができます。神が喜ぶことに心を留める、ということです。先ほどの聖書の箇所には、地上にあるものに心を引かれないようにしなさい、とありますが、地上において人が追い求めたくなる、経済的な裕福さや名声、人からの評価などに心を引かれないようにしなさい。それらがすべて悪いことではないのですが、それらを優先的に、つまり第一義的に追い求めると、私たちは、簡単に罪を犯してしまうという弱さがあります。ですから、何かを判断するときに、上にあるもの、私たちを愛する神様に心を留めて、つまり、それは神の喜ぶことか、人として正しいことなのか、愛のある行為かということを考えながら、高等部生活を送ってほしいと、言うことです。Keep your head up、です。

まとめます。Love your neighbor as yourself, 自分と人を大切にしてください。Be an Explorer, 探究者になってください。そしてKeep your head up, 上を見てください。

皆さんの高等部での3年間の上に神様の豊かな祝福があるようお祈りし、告示といたします。

本日は、おめでとうございます。

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