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卒業生からのメッセージ

慶応義塾大学総合政策学部教授

中山 俊宏 さん

プロフィール
1986年卒。青山学院大学国際政治経済学部国際政治学科卒業。専門は現代アメリカ政治・外交、日米関係、国際政治。メディアへの出演など幅広く活躍中。著書に『介入するアメリカ――理念国家の世界観』など。

※インタビュー内容および写真・プロフィールは2017年取材当時のものです。

高等部は人生の羅針盤が形成される空間

青山学院高等部に入ろうと思ったのは、ミッション系かつ自由な雰囲気に惹かれたから。また小学校の時、父の仕事の都合でN.Yに五年ほど住んでいたことから、英語の強い高校で勉強したい思いが強かったからです。

二年生の時、英語をブラッシュアップするため、青学が提携するインターナショナルフェローシップのプログラムでアメリカに留学。一年間、サウスダコタ州ウォータータウン高校二年生に編入し、卒業。青学高等部二年生に戻りましたので、合計で四年間、在籍した計算になります。

当時の私は、とにかく沢山の本を読みました。文学から始まり、様々な歴史書、哲学書。「誰も知らないことを知ってやろう」――それは衝動のようなもので、およそ体系的な学びではなく、吸収することそれ自体が目的だったと思います。

そんな中、ある数学の先生の持つ世界観に惹かれたことがあります。その先生は数字の「ゼロ」について語り始めると止まらなくなってしまう方で、私は彼の中に「孤独な探究心」を見ました。そしてある日、英検一級に合格した際、私は壇上でスピーチをすることに。この時、原稿を見てもらったのは担任でも英語の先生でもなく、件(くだん)の数学の先生でした。「世界について知りたい」想いが共鳴し、精神的な信頼感を感じて、重要な場面で頼ってみたくなったのだと思います。

卒業後は大学、大学院へと進学し、ワシントン・ポスト紙の極東総局記者に。その後、日本政府国連代表部の専門調査員、日本国際問題研究所主任研究員を務め、現在に至ります。

今思えば、高等部時代は自分の生きる羅針盤のようなものが形成された時期。人の一番コアな部分が出来る時期にも思えます。自分で自分を探る意図がある人にとって、高等部は、自分の個性を開花させることができる空間なのではないでしょうか。自分が人と違うことを恐れず、一歩踏み出す勇気を持ってください。そして、掛け替えのない三年間を送ってもらえたらうれしく思います。

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