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2022年度 第73回入学式 報告、部長式辞

2022年4月7日 新1年生421名が入学式を迎えました。
青山学院高等部の入学式は礼拝形式で厳粛に執り行われます。
今年度も感染症対策のため、新1年生は講堂に集い、ご家族は教室にて映像をご覧いただく形での参列となりました。

部長式辞

私たちの主イエス・キリストの神、栄光の父が、あなたがたに知恵と啓示の霊を与えてくださいますように。そして、あなたがたが神を深く知ることができ、心の目が照らされ、神の招きによる希望がどのようなものか、聖なる者たちの受け継ぐものがどれほど豊かな栄光に輝いているか、また、私たち信じる者に力強く働く神の力が、どれほど大きなものかを悟ることができますように。
エフェソ1章17~19節

 73期新入生の皆さん、本日は入学おめでとうございます。そして青山学院高等部へようこそ。Welcome! 教職員一同、皆さんを心から歓迎いたします。保護者の皆様、またご家族の皆様、本日はお子様の高校ご入学おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
 さあ、みなさんの高等部での生活がスタートしました。どのような思いの中にいるでしょうか。どんな授業があるのか、何のクラブに入ろうか、留学生と話をしてみたい(そう、今年は留学生がもう来日しています)、きっと様々な期待があることと思います。またその一方で、HRの担任やクラスメイトはどんな人たちだろうか、勉強はついていけるのだろうか、と言ったいくつかの不安もあることと思います。どうぞあわてずに、少しずつ慣れていって、高等部の生活を謳歌してください。
 みなさんがこの高等部で過ごすこれからの3年間、すなわち15歳から18歳になるこの3年間は、その後の皆さんの人生において、考え方や心の礎となるようなことを経験する期間だと私は思っています。様々な体験や出会いが、皆さんを形成し、皆さんが生きていく上での大切な骨や肉となっていきます。どうぞ自分から積極的に様々なことに挑戦してください。これからの3年間が、皆さんにとって、喜び溢れる実り豊かな3年間になることを祈ってやみません。
 そのような3年間を過ごすために、3つの点を心に留めてほしいと思います。
 まず一点目は、Expand your horizons. です。Expand your horizons. expandは、広げる、です。そして、horizons には、地平線、水平線という意味もありますが、この場合、見えている部分、つまり視野です。したがって、Expand your horizonsは、視野を広げましょう、ということです。皆さんは15年生きてきました。様々な経験をしてきたことと思いますが、まだまだ世界は広いです。知らないことがたくさんあります。高等部では、教科の学びもより高度なものとなっていきますが、それ以外にも様々な価値観や文化に触れるチャンスが用意されています。どうぞ新しいこと、知らなかったことに積極的に関わって、視野を広げてください。
 例えば、グローバル、という言葉を考えてみます。青山学院には、将来グローバルに活躍したい、と思って入学する人が多くいます。その場合のグローバルというのは、きっと、世界中で、というような良い意味で使われていることと思います。素晴らしいと思います。しかし、グローバル化、と言った時に、そこには、闇の部分もあります。安いものを作るために、貧しい国の労働力が搾取されることがあります。グローバル企業が世界中に躍進することで、地域特有の文化が損なわれていくこともあります。グローバル化が進む世界で、何が大切か、何を目指すのか、そのような視点を持つことが大事です。高等部で、様々な価値観に触れ、視野を広げ、柔軟な感性と、大切なことを心に刻んでくれることを期待します。
 続いて2つ目は、Spread peace。spreadは広げる。peaceは平和。つまり平和を広げてください、という意味です。現在、ロシアのウクライナへの軍事的侵攻によって、世界の平和が脅かされています。私たちにできることがあるのでしょうか。先日、青山学院は声明を出しました。平和へのアピールです。また高等部でも生徒会が中心となり、ウクライナの子供たちのための募金を行いました。犠牲者への支援です。では、ウクライナに限らず、世界平和を考えた時に、普段できることがあるでしょうか。
 マザーテレサの言葉に、ヒントがあるように思います。「平和も戦争も家庭から始まります。もし本当に世界平和を願っているなら、まず自分の家族が相互に愛し合うことから始めていきましょう。」と彼女は言いました。いかがでしょうか。家庭、という言葉を、自分の身の回りの社会、と考えれば、「学校」も当てはまると思います。どうでしょうか。身の回りの友人、クラス、クラブに平和を築く、そしてそれを学年、学校に広げていく。ひいては地域社会、国、世界平和へと続く、ということだと思います。
 どうぞ、人を大切にしてください。仲間だけでなく、どんな人をも、です。どのような人も大切にしてください。そこに平和が築かれます。私は皆さんに、豊かな経験をたくさんしてほしいと申しましたが、平和という基盤の上にこそ、それがかなうと信じます。どうぞ平和を築き、広げてください。
 最後は、Live in hope, liveは生きる、生活する、hopeは希望ですね。皆さんは今、ここで緊張と共に、期待や希望を持っていることと思います。どうぞ、どのような場面でも希望を持って歩んでほしいと思います。戦争に限らず、今私たちが生きている社会は、先行きが不透明な時代と言われ、日本では大人になりたくない子供が増えている、と言います。また日本は、将来の不安をあおる社会、と言われることもあります。いかがでしょう。皆さんも心配の中に生きていますか。
 みなさん、世の中そんなに捨てたものではありませんよ。努力も報われるし、困難や試練にもたいていの場合、解決の糸口があります。様々なことに直面しても、どうぞ簡単にあきらめず希望を持って歩んでください。そしてどうぞ、その背後にある、どんな時代になろうとも変わらないものへの思いを馳せてください。皆さんのお手元にある式次第の裏に、青山学院の校歌があります。2番の前半の歌詞を見てください。
 四海に逆巻き 移りゆく現世にも、久に変わらぬ主の愛を信じてゆかん、とあります。
 世の中は激動でうねりゆく、そんな移ろう現世にあっても永永久に不変なのは主の愛で、主の愛を信じていこう。という意味です。
 宗教改革者マルティン・ルターの有名な言葉に、「たとえ明日世界が亡びるとも、私は今日、リンゴの木を植える。」があります。ここには神様への信仰と希望があります。
 今日の聖書の言葉にあるように、どうぞ神の招きによる希望が私たちには与えられていることを忘れず、様々なことにあきらめずにチャレンジし、歩んでいってほしいと思います。
 まとめます。Expand your horizons, 視野を広げてください。Spread peace、平和を広げてください。そしてLive in hope、希望と共に歩んでください。
 皆さんの高等部での3年間の上に神様の豊かな祝福があるようお祈りし、式辞といたします。
 本日は、おめでとうございます。

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