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2024年度 第75回入学式 報告、部長式辞

2024年4月6日 新1年398名が入学式を迎えました。
青山学院高等部の入学式は礼拝形式で厳粛に執り行われます。
PS講堂にご家族もお集まりいただいての式となりました。

部長式辞

愛には偽りがあってはなりません。悪を退け、善に親しみ、兄弟愛をもって互いに深く愛し、互いに相手を尊敬し、怠らず励み、霊に燃えて、主に仕えなさい。希望をもって喜び、苦難に耐え、たゆまず祈り、聖なる者たちに必要なものを分かち、旅人をもてなすよう努めなさい。

ローマの信徒への手紙12章9~13節

75期新入生の皆さん、本日は入学おめでとうございます。そして青山学院高等部へようこそ。教職員一同、皆さんを心から歓迎いたします。保護者の皆様、またご家族の皆様、本日はお子様の高校ご入学おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。またご来賓の皆様、本日はお忙しい中、ご列席を賜り、誠にありがとうございます。

さあ、みなさんの高等部での生活がスタートしました。今皆さんはどのような思いの中にいるでしょうか。この学校には、どのような興味深い授業やプログラムがあるのか、何のクラブに入ろうか、留学生と話をしてみたい、きっといろいろな期待がある一方で、担任やクラスメイトはどんな人たちだろうか、勉強はついていけるのだろうか、いくつかの不安もあることと思います。大丈夫です。そんな皆さんを高等部は応援し、サポートしていきます。どうぞあわてずに、少しずつ慣れていって、高等部の生活を謳歌してください。

さて、これから皆さんがこの高等部で過ごす3年間、つまり15歳から18歳の時期は、皆さんのその後の人生において、考え方や心の持ち方の礎となるような経験をする期間になります。新しい知識や考え方、まったく初めての経験や体験、そして様々な人たちとの出会いなどが皆さんを形作っていきます。時には「なるほど、そういうことだったのか」と理解が深まることによって、あるいは「この人のようになりたい」「こんなことを経験してみたい」というような希望が生まれることによって、または「こういうことを大切に生きていこう」と決意をすることによって、皆さんは人格を形成していきます。このような一つ一つの経験の積み重ねが皆さんを成長させ、また「どのように生きていくか」、「どのような人間になるか」という意味で、自分の土台を固めていく時間になる、ということです。様々な経験を通して、自分を磨きつつ、成長し、実り豊かな3年間になることを切に祈っています。

それらをより確かなものにするために、今日は3つの点を心に留めてほしいと思います。

まずは、Think for yourself. 自分の頭で考えよう、という意味です。

これまでは、ご両親や教員から言われてやることが多かったかもしれませんが、これからは自分で考えて選択したり、決断したりすることが増えてきます。毎日の生活において、どうぞ脳を活性化して、自分でしっかり考えるようにしてください。他の人と同じで良い、親に言われたから、教員に言われたから、ではなく、普段から、今自分にとって何が大切か、優先すべきかを、考えて行動するようにしてください。

学習に関してもそうです。思考力を鍛えましょう。これまでは知識をインプットして、それを覚えてただテストでアウトプットする、で済んでいた部分もあったかもしれませんが、これからは、そこにとどまらずに、知識を得たら、それはどうしてなのか、どういうことに繋がっているのか、自分だったら何ができるのか、思考を働かせて、学びを深めてください。そうすることによって、知識や考え方が自分の中に吸収されていくことになります。それが知性豊かな人間性につながります。Think for yourself, 自分の頭で考える。

二つ目、Expand your horizons. です。Expand your horizons. Expandは、広げる、です。horizons は、地平線、水平線という意味もありますが、この場合、見えている部分、視野という意味です。つまり視野を広げましょう、ということです。皆さんは15年生きてきました。中には、海外の経験を含め、様々な経験をしてきた人もいることと思いますが、まだまだ世界は広い。知らないことがたくさんあります。高等部では、教科の学びも、より高度なものとなっていきますが、その教科の中でも、またそれ以外でも様々な価値観や文化に触れるチャンスが用意されています。どうぞ新しいこと、知らなかったことに積極的に関わって、視野を広げてください。

例えば、グローバル、という言葉を考えてみます。青山学院には、将来グローバルに活躍したい、と思って入学する人が多くいます。その場合のグローバルというのは、きっと、世界中で、というような良い意味で使われていることと思います。素晴らしいと思います。しかし、グローバル化、と言った時に、そこには、闇の部分もあります。安いものを作るために貧しい国の労働力が搾取されることがあります。グローバル企業が躍進することで、地域特有の文化が損なわれていくこともあります。グローバル化が進む世界で、何が大切か、何を目指すのか、そのような視点を持つことが大事です。高等部で、様々な価値観に触れ、視野を広げ、柔軟な感性と大切な視点を身につけてくれることを期待します。

そして3つ目は、Respect one anotherです。respect は、尊敬する、敬意を表す、という意味があります。またone another、この熟語、覚えていますか。そう「お互いに」でしたね。お互いに尊敬をもって接しましょう、ということです。これまでは、比較的同じようなバックグランドをもつ人と一緒の学校生活でした。しかし高等部では、出身中学校も、住んでいるところも様々です。長い間海外で過ごしてきた人もいます。また留学生もいます。考え方も習慣も違う人がいます。どうぞ、お互いを尊重…というよりも「尊敬」の気持ちで接してください。それが豊かな人間関係を作るきっかけになります。

先ほどお読みいただいた聖書の箇所には、兄弟愛をもって互いに深く愛し、互いに相手を尊敬し、とあります。青山学院はキリスト教の学校ですが、そのキリスト教の中心メッセージは愛です。まず神様、イエス・キリストなる神様は、そもそもが愛だと言うんですね。そして、私たち一人一人は、その愛の神様に創造された、造られたかけがえのない値高い存在、と聖書は言います。さらにそれぞれが賜物、つまり神様からのギフトを別々に頂いてる、とも言います。ですから、一人ひとりが活躍する場所、機会も別々なのです。前に出てリードしてくれる人もいれば、影で縁の下の力持ち的に働いてくれる人がいます。得意なこと、関心も違うものを持っていますから、様々な人が別々の機会に貢献し合うことができるのです。ぜひ毎日の生活において、互いに「素晴らしいね」、「偉いなぁ」、というような思いを持って、尊敬しあって、生活してほしいと願います。そこに豊かな人間関係が生まれてきます。豊かな人間関係は、豊かな人生につながる、と信じます。

まとめます。Think for yourself, expand your horizons, and respect one another.

ぜひこの三つの点を心に留めて高等部生活をスタートしてください。皆さんの3年間の上に神様の豊かな祝福があるようお祈りし、式辞といたします。本日はおめでとうございます

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