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2016年度入学式 部長告辞

2016年4月7日 入学式告辞 詩編19編:2-5

部長 西川良三

青山学院高等部第67回新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。保護者の皆様、お子様のご入学、心よりお祝い申し上げます。

ここにおられる新1年生437名の方々はこれからこの青山学院高等部で、中学校で学んだ基礎の上に、高等学校の教育課程に従って、より深くまた広い学びを行って行きます。この青山学院高等部で更に知識を身に付け、それを生かしていけるしっかりした土台づくりをされることを期待します。加えて、様々な学校行事や、クラブ活動、国際交流活動、ボランティア活動等の取り組みがありますのでそれらにも積極的に参加してください。

この青山学院高等部には多様な背景の方々が集まってきています。青山学院幼稚園、初等部、中等部、高等部のそれぞれの段階で入られてきた方々がおられ、高等部からは様々な中学校から入学されてきています。またこれまで、日本以外の世界の異なる国々で暮らし、そこで学校生活を送る経験を持つ方々も多くおられます。それぞれの違いと良さを認め合い、お互いの持ち味を生かしつつ、他の人から良い刺激を受けて成長していっていただきたいと思います。

高校時代は自分の将来の進路を考え、ある程度決めていかなければならない時です。学んだ教科への関心や高等部の学校生活での様々な経験を通して、方向性がよりはっきりしてくることでしょう。もしかするとこの3年間にご自分の将来の方向が決まるということもあるかもしれません。友人との出会い、あるいは先生や先輩との出会い、あるいは読んだ本との出会いから、自分の進む道が示されると言うこともあります。私ごとですが、教員になって39年になりますが、教師をめざすようになったきっかけは、高校時代に出会った一人の英語の先生に大きく影響されたことでした。

この青山学院高等部では毎日の授業、そして放課後のクラブ活動に加えて毎日礼拝があります。礼拝こそが、この青山学院の教育の大本となっている大切な時です。礼拝はたとえ試験中でも、また修学旅行や文化祭の時でも行われます。この礼拝でメッセージを聞いて自分の生き方や、自分が抱えている問題に思いを巡らし、それぞれの心の糧としてください。また、その時はわからなくても、後に礼拝で聞いたことがやがてどこかで芽を出してくれることもあるでしょう。高等部から入学された方にとっては、最初は戸惑う経験かもしれませんが、すぐに慣れるはずです。中等部から来た人は困っている人がいたら手伝ってください。

皆さんは、神様はいると思いますか。答えはいる、いない、わからない、あるいはなんとなくいるような気がする、と様々でしょう。先ほど宗教主任の先生に読んでいただいた聖書の箇所は、大自然に触れた人が神様の存在を直感的に感じ取った歌とも言えると思います。初めて聖書に触れた方でも、この言葉に共感する人もいることでしょう。一方、聖書は昔の本で、今は科学の時代だから、現代を生きる自分とは関係ないと思うという人もいるかもしれません。しかし、宇宙飛行士という、最先端の科学技術の知識を身に付けた人たちの中に、実は神様を信じるようになった人が数多くいるということがあるのです。皆さんが生まれるかなり前になりますが、1985年に出版された「宇宙からの帰還」という本があります。これは立花隆という当時大変活躍していたジャーナリストの人が、たくさんの宇宙飛行士たちに地球を外から見る経験をして帰ってきた後、どう精神的に変化したかを、インタビューしてまとめたものです。取材を受けた人の中には月面に着陸したアポロ宇宙船の飛行士も含まれています。驚くのは、それによると、かなりの数の人が宇宙に出て一層神様の存在に確信をもったと述べていることです。その中の一人、1971年にアポロ15号で月に着陸して3日間に渡って月面で調査を行ったジム・アーウィンという人は、地球に帰ってきてからまもなく、キリスト教の伝道者、つまり牧師になりました。彼は月から地球を見た時感じたことを次のように述べています。

「地球の美しさはそこに、そこだけに生命があることから来るのだろう。自分がここに生きている。はるかかなたに地球がぽつんと生きている。他にはどこにも生命がない。自分の生命と地球の生命が細い一本の糸でつながれていて、それはいつ切れてしまうかもしれない、どちらも弱い存在だ。かくも無力で弱い存在が宇宙の中で生きているということ。これこそ神の恩寵(つまり恵み)だということが何の説明もなしに実感できるのだ。・・・神がそこにいますということが如実にわかるのだ。このような精神的内的変化が宇宙で自分に起きようとは夢にも思わなかったので、正直言って私はじぶんで驚いている。」

宇宙から地球を見た別の宇宙飛行士は、地球上には国境などまったく見えなかった。そんな一つの地球の上で国や宗教、考えの違いから人間同士が争うのはつくづく愚かなことに感じたと述べています。

キリスト教では唯一の神様を信じていますが、これはイスラム教もユダヤ教もおなじです。同じ神さまを信じているわけですから本来なら宗教が違うと言って争うのはおかしいことです。

神様によってつくられた美しい地球を守りそして平和を実現していくことが、いつも変わらないグローバルつまり全地球的な課題です。

青山学院高等部は昨年、文部科学省からスーパーグローバルハイスクールに指定されました。その取り組みにおいて私たちの学校が最終的にめざすところは何よりも平和な世界をつくるリーダーを育てるということです。

美しい地球の中で、特に美しい自然を持ち、また平和憲法を持つこの日本に住む皆さんは、この青山学院高等部で聖書を学んで唯一の神様のことを知り、この学校での教育でグローバルな視点を養い、平和を作り出す者として育って行っていただきたいと願います。

これから、皆さんは教室に行って担任の先生、そして新しい仲間との出会いを経験します。慣れるまで時間がかかることもあるでしょうが、ホームルームデー、バレーボール大会とクラスで取り組む行事を経て、6月頃にはみなかなり打ち解けていることでしょうから心配しないでください。

この青山学院高等部でのこれからの生活において、大いに学び、考え、体を鍛え、いろいろな人と出会い、様々なことにチャレンジして充実した時を過ごし、良き高校生活を送られることを祈ります。

本日はご入学おめでとうございました。

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